2012年2月29日水曜日

いつもお体に気をつけて?

(誤) いつもお体に気をつけてお過ごしください。
(正) お体に気をつけてお過ごしください。

◇ 「いつも」は必要ありません。
◇ 相手の健康を気づかう文に添えるのは、「どうぞ」か「くれぐれも」のどちらかです。
   決まった言い方なので、「いつも」「本当に」など、ほかの言葉をつけると違和感を与えてしまいます。

(文例)
 どうぞくれぐれもお体に気をつけてお過ごしください。
・ どうぞれぐれもお体を大切になさってください。
・ どうぞくれぐれもご自愛ください。

早いもので、明日から3月です。季節の変わり目、皆様どうぞお体を大切にお過ごしください。

2012年2月28日火曜日

親しみ vs 親しさ

<問題>

次の文の(   )に入るのは、①と②のどちらでしょうか。

「子どもの時から、日本に(①親しみ ②親しさ)を持っていました。」


<答え>
①「親しみ(したしみ)

(誤) 子どもの時から、日本に親しさを持っていました。
(正) 子どもの時から、日本に親しみを持っていました。


<意味の違い>
「親しみ」=「親しい気持ち

(例) 同じ大学の出身だと聞いて、彼に親しみを感じるようになりました。
(例) 今住んでいる町は故郷の街並みに似ているので、親しみを感じます。

「親しさ」=「どのぐらい親しいか」(程度)

(例) 相手との親しさによって、話し方は自然に変わる。
(例) 一緒にいる時の様子を見れば、あの二人の親しさがわかる。

2012年2月27日月曜日

「食べられない物はありますか?」

◇ 2月17日(金)の記事「嫌いな物はありますか?」に関連して、質問をいただきました。

<質問
いろいろな方に苦手な食べ物がないかどうか聞いて回る場合何か食べられない物はありますか?」という聞き方をしても大丈夫でしょうか。


<回答>
親しい人にはよく使いますね。友人や同僚であれば問題ありませんが、目上の方には使わないほうがいいでしょう。


<理由>
「~られない」という否定形を使ってストレートにできないこと」を聞くのは、失礼になります。
敬語で「何か召し上がれない物はありますか?」と聞いたとしても、同じです。

否定の形は避けて「何か苦手な物がありましたら、教えていただけますか」などと聞くと良いでしょう。
(※「おわかりにならないことはありませんか」と言わず、「ご不明な点はありせんか」と言うのと、同じ論理です)


◇ ご質問、ありがとうございました。

2012年2月24日金曜日

見つけているところ?

Aさん: 倉庫の鍵、あった?
Bさん: いいえ、誤) 今、見つけているところです。
           正) 今、探しているところです。

◇ 何かを失くしてから見つけるまでの途中経過には、「探す」を使います。
      失くす ⇒ 探す ⇒ 見つける   

◇  また、「見つける」は一瞬の行為なので、「今、見つけている」(継続)という風に使うことは
   絶対にできません。「今、見つけています」と言われると、いったいどんな状況なのか
   わかりません。

(誤) 今、新しい仕事をつけています。
(正) 今、新しい仕事をしています。

(正) 昨日財布を失くしてから、ずっとしています
(正) 今日本屋で、前から探していた本を見つけました。

2012年2月23日木曜日

仕事を集中したい・・?

(誤) 今は仕事集中したい。
(正) 今は仕事集中したい。

◇ 「集中する」を「気持ちをそのことだけに向ける」という意味で使う場合、助詞は「」を使います。
    この「」は、気持ちの方向を表しています。

(正) 仕事が忙しすぎて、なかなか日本語の勉強集中する時間がない。
(正) とにかく今は、起きてしまった問題を解決することだけ集中しよう。

2012年2月22日水曜日

「励まし」の使い方

前回の記事を読んだ方から、次のような質問をいただきました。

<質問>
「励まし(はげまし)」という言葉は、どんな風に使うのですか。


<回答>
「励まし」は名詞です。
「励ましの言葉」「励ましのメール」のように、「励ましの+(名詞)」の形で使います。
「励ましの」は、元気や勇気が出るように、力づけるためのという意味です。

◇ 後ろにつく名詞は次の通りです。種類は多くありません。

     励ましの +  言葉/声/メール/手紙/電話/メッセー


(例文) 
・ 就職活動中、兄から何度も励ましの電話をもらいました。 
・ 仕事で失敗して落ち込んでいた時、先輩から励ましの言葉をかけてもらって涙が出そうになった。
・ 病気でしばらく会社を休んでいた時、同僚から励ましの手紙をもらって感動しました。 
 先日は、励ましのメールをありがとうございました。 


質問してくださった方、ありがとうございました。


2012年2月21日火曜日

励ましになる・・?

上司: この間のお客さんが、Aさんの日本語に感心していたよ。
Aさん: (誤) そう言っていただけると、本当に励ましになります。
      (正) そう言っていただけると、本当に励みになります。

◇ 「励み(はげみ)になる」とは、「がんばるための力になる」という意味の、決まった表現す。
   上のように、ほめ言葉をもらった時の返事に使うことができます。単に「うれしいです」と言うより、
   一生懸命な感じが伝わります。

  「励まし(はげまし)になる」は間違いです。

(例) お客様からの感謝の言葉が、何よりも励みになります
(例) 子どもの成長が、励みになっています

2012年2月20日月曜日

説明される・・。

【問題】
「まず担当のAさんから、プロジェクトの概要について説明されました。それによると・・」

Tさんは先輩に、取引先訪問の様子を上のように報告しました。
「説明された」という受身形の使用はこの場合、適切でしょうか。


<答え>
◇ 受身形ではなく、「説明を受けた」という言い方が適切です。

  (正) 担当のAさんから、プロジェクトの概要について説明を受けました。それによると・・   

◇ 個人的な感情が必要ない報告のような場面では、「説明を受ける」という言い方をします。
   事実だけを伝える言い方で、ニュースでよく使われます。知っておくと便利です。

  (例) 社員は、災害発生時の安否確認システムについて説明を受けました


<解説>
◇ 「説明された受身形)は、「迷惑な気持ち」を表すことがあるため、注意が必要です。
   (例) 会社の規則を長々と説明されました。

◇ 説明してもらいました/説明していただきました」という形は、感謝の気持ちを表します。
   (例) お店の人に、操作方法を説明してもらいました。

◇ 「説明を受けた」は、上の2つと違って感情は入りません。以下の動詞も、同じパターンです。

    ・質問する → 質問される → 質問を受ける
    ・相談する → 相談される → 相談を受ける
    ・指示する → 指示される → 指示を受ける
    ・注意する → 注意される → 注意を受ける
    ・連絡する →    -     → 連絡を受ける  
    ・報告する →    -     → 報告を受ける
    ・面接する →    -     → 面接を受ける  
    ・内定する →    -     → 内定を受ける                

2012年2月17日金曜日

嫌いな物はありますか?

Aさんは、職場の食事会の幹事になりました。店を決めるため、ほかの人に食べ物の好みを
聞いて回っています。次の聞き方は適切でしょうか。

「皆さんにお聞きしているんですが、何か嫌いな物はありますか?」


<解答>
この聞き方はストレートすぎます。「嫌い」の代わりに「苦手」を使ったほうが、相手は答えやす
なります。

<解説>
嫌い」という言葉は、強い拒否を表します。
食べ物のことで、そこまで強く好き嫌いを主張するのは大人としてわがままな気がして、相手は
正直に答えにくくなります。親切なようで、親切ではない聞き方です。

こうした場面では、「嫌い」の代わりに「苦手」を使うと、ストレートすぎず、相手は自分の好みを
自由に言いやすくなります。

(例)
A:  そろそろお店を決めようと思うんですが、Bさん、何か苦手な物はありますか?
B:  そうだなあ、できればあんまり辛くない物がいいなぁ・・・

◇ 「苦手」は「あまり好きじゃない」ぐらいの意味で、「嫌い」のようなきつさがありません
◇  また、「苦手な物」には体調、体質などの理由で、「嫌い」ではないけれども「避けたい物」
   含まれるので、より親切な質問になります。

2012年2月16日木曜日

れいてんいち? ゼロてんいち?

◇ 小数点「.」の前の「0」は、「れい」と読みます。「ゼロ」と読みません。

(誤) 0.1% (ゼロ てん いち パーセント)
(正) 0.1% (れい てん いち パーセント)

(正) 失業率が前月より0.3ポイント低下した。 (れい てん さん ポイント)
(正) 彼女に0.5ctのダイヤモンドリングを贈りました。 (れい てん ご カラット)


◇ 小数点「.」の後の「0」は、「れい」、「ゼロ」、両方使われています
   (NHKのアナウンサーは 「れい」と言っています)

(例) 1.0%    (いってん れい パーセント/いってん ゼロ パーセント)
(例) 2.05%   (にいてん れい ごう パーセント/にい てん ゼロ ごう パーセント)

2012年2月15日水曜日

2年間半?

(誤) 今の会社で2年間半働いています。
(正) 今の会社で2年半働いています。

◇ 「~年間半」という言い方は間違いです。「半」をつけたら、「間」は要りません
   「継続期間」でも「合計年数」でも、どんな時でも「~年半」です。

(正) 1年半/2年半/3年半/4年半/5年半・・・


◇ 漢字一文字の間違いですが、「~年間半」だと、 一瞬何のことかわかりません。
   そのぐらい気になる間違いなのです。 

(正) 日本語学校で1年半勉強しました。
(正) 日本に来てから、1年半になります。

2012年2月14日火曜日

3年 vs 3年間

【問題】 (   )は、「3年」と「3年間」のどちらが正しいでしょうか。

・日本に来てから、(①3年 ②3年間)になります。
・日本に来てから、(①3年 ②3年間)たちました。


<答え>
どちらも、答えは①の「3年」です。 「3年間」は誤りです。


<解説>

◇ 「合計して何年」と言う場合は、「~年」を使います。「~年間」は使いません

(例) 入社してから、(合計すると)ちょうど2年です。
(例) 結婚してから、(合計すると)もうすぐ1年です。


◇ ある行為の「継続期間」を言う場合は、「~年間」でも「~年」でもどちらでもかまいません

(例) 入社してから、2年間(2年)総務の仕事をしていました。 
(例) 結婚してから、1年間(1年)横浜に住んでいました。


<まとめ>
合計年数: ~年
継続期間: ~年/~年間 

2012年2月13日月曜日

一年行きました。

【質問】
次の二つのセンテンスは正しいでしょうか。
・ 日本に一年間いました。
・ 交換留学生として日本へ一年行きました。


<回答>
「日本に一年間いました。」は正しい文です。
「交換留学生として日本へ一年行きました。」は、「一年行きました」の部分に違和感があります。


<解説>
「一年」「一年間」は、「期間」を表す言葉です。(どちらを使ってもいいです)
「期間」の後に来る文は、「その期間を通じてしたこと」「継続した出来事」を表す文でなければ
なりません。以下の例で確認してください。

(正) 交換留学生として一年(間)日本にいました
(正)     〃       一年(間)日本に住んでいました
(正)     〃       一年(間)日本で勉強しました
(正)     〃       一年(間)日本で生活しました
(誤)     〃       一年(間)日本へ行きました

「行きました」は一年を通じてしたことではありません。「継続性」が無行為のため、
違和感があるのです。
「行っていました」にすれば自然です。これは、「日本に行って、そのままずっとそこにいた」
という意味だからです。

(正) 交換留学生として日本へ一年(間)行っていました

◇ 質問者の方、ありがとうございました。

2012年2月10日金曜日

心よりお祝いいたします?

春は卒業、入学、就職、昇進などお祝い事の多い季節です。
次の文は、ある方の昇進をお祝いするメールの中の一文ですが、間違っている所があります。それはどこでしょうか。

「この度は名古屋支店長にご就任とのこと、心よりお祝いいたします。」


【解答】

(誤) 心よりお祝いいたします。   (正) 心よりお祝い申し上げます

【解説】

「心よりお祝い申し上げます。」は、あらたまったメールや手紙で使われる決まった表現です。
「申し上げます」には、相手に対して深く丁寧におじぎをしているイメージがあります。
「お祝いいたします。」とは書きません。

◇ さまざまなお祝いのメールや手紙で使えます。

(例) この度は新支店を開設されたとのこと、心よりお祝い申し上げます。(× お祝いいたします。)
(例) この度は本社事業部長にご栄転とのこと、心よりお祝い申し上げます。(× お祝いいたします。)


◇ 次のように、「おめでとうございます。」の後で、使うこともできます。

(例) この度はご結婚、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
(例) Yさん、この度はご出産、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。

2012年2月9日木曜日

偶然に・・?

(誤) 偶然に、駅のホームで学生時代の友人に会いました。
(正) 偶然、駅のホームで学生時代の友人に会いました。

◇ 「偶然」は副詞ですが、助詞「に」は要りません。つけると不自然です。

(正) 偶然、部長と同じバスに乗り合わせました。

◇ 「に」の要らない副詞のうち、間違えやすいのは以下の三つです。覚えてしまいましょう。

突然   :突然、大雨が降り出して、試合は中止になりました。(× 突然に)
直接   :直接、彼に聞いたほうが早いでしょう。(× 直接に)
比較的  :今日は比較的暖かいですね。(× 比較的に)

2012年2月8日水曜日

相談したい・・?

部下: 部長、お忙しいところすみません、
     (誤) ちょっと相談したいとがあるんですが・・
     (正) ちょっと相談したいことがあるんですが・・

◇ 目上の人に対しては、必ず「ご相談」と言いましょう。

◇ 「」があるか無いかで、印象はまったく違います。
   「ご」が無いと、まるで同僚や目下に話しているようで、えらそうに聞こえてしまいます。

    (例 仲間に対して) ちょっと相談があるんだけど・・
    (例 上司に対して) ちょっとご相談があるんですが・・





2012年2月7日火曜日

伊藤様?伊藤さま?

仕事のメールで文頭の宛名を次のように書く人がいます。

「伊藤さま

◇ 主に女性が、親しみをこめて書くことが多いようですが、ビジネスメールの宛名の「様」は
   ひらがなでは書きません
◇ 「~さま」は、あくまで私用のメールで使うものです。
   仕事を通じてだんだん親しくなって、心の距離が近くなったとしても、仕事上のメールでは
   「(名前)」と書くべきです。

  (誤) 伊藤さま
  (正) 伊藤

※特に男性が「さま」と書くと、女性っぽい印象を与えます。

2012年2月6日月曜日

妻が子どもを生む・・?

次の文は、日本語らしくありません。どのように直したらいいでしょうか。前半部分を直してみてください。

「来月、妻が子どもを生む予定なので、お休みをいただきたいんです。」

【解答】
自動詞文にすると、自然に聞こえます。
(正) 来月、妻に子どもが生まれる予定なので、お休みをいただきたいんです。


【解説】
◇ 昔から、「子どもは天からの授かり物(贈り物)」という考え方があります。
   もちろん奥さんが生むのですが、「自然の奇跡」という気持ちをこめて、「人)に+子どもが+
  生」という自動詞文(自然現象)を使います。


  (正) 友だちに子どもが生まれたので、お祝いのメッセージを送りました。


◇ 特に、目上の人について話す時は注意してください。上の理由のほかに、「生んだ」は直接的すぎ
   て失礼な感じがします。自動詞を使って、婉曲的(=遠回し)に表現します。

  (誤) 今朝、主任の奥さんが女の子を生んだそうですよ。
  (正) 今朝、主任の奥さんに女の子が生まれたそうですよ。


◇ 動物園のパンダなどであれば、どちらでもいいです。

  (正) 上野動物園のパンダが子どもを生んだんだって!!

2012年2月3日金曜日

ヨウと申しました?

(電話で)
お客様: あの、失礼ですがお名前は・・
葉さん : (誤) わたくし、ヨウと申しました
       (正) わたくし、ヨウと申します

◇ 電話でいろいろ話して、最後に名前を聞かれることがあります。たまに、「ありがとうございました」の感
   覚で、過去形で「~と申しました」と言う人 がいますが、過去形は使いません名前を言う時は「~と
   申します」だけです。

◇ もし日本人で「(名前)と申しました」と言っている人がいたら、その人も間違えて使っているのです。

※ここもポイント※
最初に「わたくし、」と言ってあげると、相手はあなたの名前を聞く準備ができるので、聞き返される確率がだいぶ減ります。

2012年2月2日木曜日

大勢が・・?

(誤) 大勢が、当社のウェブ翻訳サービスを利用しています。
(正) 大勢の方が、当社のウェブ翻訳サービスを利用しています。

◇  「大勢(おおぜい)」は「たくさん」と同様、単独では副詞です。そのまま文の主語として使うと違和
    感があます。主語として使いたい場合は、「大勢の人が」「大勢の方が」という形にします。

(正) 大勢の人が、彼のスピーチに感動した。
(正) 大勢の人が、開店初日の電気店の前に並んでいる。

◇  人の種類を特定して、「大勢の学生が」「大勢のファンが」などと言うこともできます。


2012年2月1日水曜日

インフルエンザで寝入る?

(誤) インフルエンザで3日間寝入っていました
(正) インフルエンザで3日間寝込んでいました


・寝入る(ねいる)=深く眠ること。わりと気持ちがいい状態です。
            (例) ピアノの演奏を聴きながら寝入ってしまい、気がついたらコンサートは
                終わっていました。

・寝込む(ねこむ)=体調が悪くて、寝ること。苦しくて起きられない状態です。
            (例) A: 山田さんは?休み?
                B: 昨日から風邪で寝込んでいるそうです。
                A: あらまぁ・・・